英語とギターの関連上達法(2):文型とブルース進行

450/ 1月 30, 2019/ 英語とギターの関連上達法

こんにちは。一郎です。

本日は、ギターと英語の関連上達法について、

また少しお話したいと思います。

(2019/8/22追記:

以前書いた、こちらの記事を見返したら、

ほとんど意味がわからなかったので、

内容を大きく変更致しました笑)

英語とギターの関連上達法:コードと発音

という以前の記事では、

学習初期に発音を学ぶ重要性について

書いてみました。

今回のテーマは、“文型とブルース進行”。

コミュニケーションの土台となる、

“型(カタ)”みたいなものですよね。

ものすごく重要だけれども、

最終的には、とらわれてもいけない。

ここを自分なりの方向性で、

少し掘り下げてみたいと思います。

要するに言いたいのは、

この“型”を使って行うのは、

“構造”を浮き彫りにすること。

それを忘れないようにしよう、

ということなんだと思っております。

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部品よりも、“構造物”にこだわる

この“文型”や“ブルース進行”というものは、

何かの構造物を建てていくという、

“建築”というキーワードで考えると、

イメージが湧きやすいかもしれません。

私がそう思うきっかけになったのは、

クラシックに関する本を読んでいて、

こんな文章に出会ったことでした。

「エルヴィン・シュタインはこう書いたーー「美しい音色も素晴らしいが、音楽の美しさはそれだけではない。音楽の響きには形態がある。美は響きという物理的現象だけではなく、整った形態にもこめられている。」グールドは、私たちが家について尋ねるように、音楽について尋ねるかもしれない。何を使って、どのくらい上手に建てられているのか、と。音色など装飾的なものにすぎないと主張する気はグールドにはみじんもないと思うが、関心の的は塗装よりも構造にある」

グレングールド、音楽、精神』P325〜326

まず、最も基本的な“単語”や“コード”を

木材や鉄鋼、土などの“原材料”として

見立ててみましょう。

“文型”や“ブルース進行”という“型(カタ)”に

それらの原材料を入れると、

柱、壁、屋根のような感じで、

より構造物に近い形に固めることができます。

ですが、我々が表現したいのは、

型に入れて出来た柱や壁ではなくて、

それらを積み重ねた“構造物”である訳です。

これがとても重要なんですよね。

文法を例文1つで理解しようとしたり、

ブルースの常套句を単独で暗記するだけでは、

本当の表現力にはつながらない訳です。

これらは必ず、何かしらの文脈の中で、

つまり、とある“構造物”が生まれる物語の中で

理解、体得されるはずなのです。

またもや、クラシック業界になりますが、

ピアニスト、エレーヌ・グリモーの以下の言葉も、

これに近い話ではないでしょうか。

少し長いですが、引用しておきます。

「私はとくに音楽家としてのコルトーを尊敬する。(中略)けれども、各地の音楽学校が使用するコルトー版の権威主義には、いつも身のすくむ思いがする。(中略)私の目に錯誤と見えるのは、コルトー版が難所をマスターするためには、それを文脈から抜き出し、孤立させるように忠告していることだ。(中略)ほんとうの技術的困難があるとき、それを乗り越えることを可能にするのは、まさに音楽的文脈、つまりコルトー版が孤立させようとしていたものなのだ。自分が音楽的にどこに向かおうとしているのかわかっていれば、フレージングがどこに導き、その色合いがなにかを知っていれば、フレーズを切断する可能性のある技術的難所を、無事に乗り越えられる。

『野生のしらべ』P105

なので、柱の模様にこだわるのもいいのですが、

それを愛でるだけで終わってしまうと、

小手先の表現になりかねないという訳です。

ちなみに、文脈の中で学ぶということでは、

『“書く”ことで見つけるオリジナリティー』

という本ブログ記事も参考になるかもしれません。

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ブルースの12小節の中に、無数に展開する物語を感じること

ブルースというのは、

ギターが最も得意とする音楽の1つで、

ブルース進行という特有の型を持っています。

そして、このブルースは、

ロックやジャズ、ファンクにヒップホップなど、

幅広いジャンルのルーツでもあります。

そんなジャンル派生のしやすさに加え、

ブルースは物語を描きやすい、

という特徴があります。

ですので、今回のテーマでは、

単に“コード進行”とするのではなく、

“ブルース進行”と特化してみました。

一般的なブルース進行というのは、

12小節という長さを一区切りにして、

決まったコード進行を

好きなだけ循環させていきます。

4、8、16、32小節区切りなどの曲が多い中、

この12小節というのは、

ちょっと不思議な長さです。

ここをもう少し考えていきたいと思います。

ギターは弦の揺れで音が出ますが、

音楽は、振動の周期の芸術です。

ですので、それは時間の流れを表現し、

自然のリズムとも共通した部分を持っています。

演奏の原理』(著:ハンス・ペーター・シュミッツ、監修:吉田雅夫) 

という本では、以下のように表現されています。

「自然界の現象を引合いに出して説明すると、年は四季によって、四季は月によって、そして月は昼と夜の秩序ある交代によって律動的に分節されているが、全く同じように演奏の場合にも小さなリズムは大きなリズムの中で、大きなリズムは更にそれら大小のリズムを包括するリズム秩序の中で動かなければならないのである」

演奏の原理』P28

これを12小節という周期を繰り返す

ブルース進行に当てはめてみます。

すると、12という区切りが時間を感じさせ、

地球や宇宙の動きだったり、

自分の今日一日の出来事など、

色んなイメージが生まれてきます。

ブルースプレイヤーは、

この周期の上で、

明るいメロディーだったり、

暗いメロディーだったり、

はたまたどちらとも言えない音を使ったり、

様々な表現を行っていきます。

そこには必ず、“物語”があるのです。

同様に、英語の“文型”を学習しようと思うなら、

そこで“物語”が語られていなければいけません。

そういったことを繰り返していった先で、

場合によっては、あえて型を破り、

コントラストを効かせることも可能になります。

このコントラストは、

基本がないと成立しません。

センスよく驚きを演出できるのは、

物語のお約束が見えているからこそ。

反対のものがあるから、引き立つ訳ですね。

「美しいと汚いは、別々にあるんじゃあない。美しいものは、汚いものがあるから美しいと呼ばれるんだ」(※太字は本来傍点)

タオ―老子 (ちくま文庫)』P18

余談も入りましたが、重要なのは、

文型やコード進行という“型”を使って、

目に見えない“構造物”を浮き彫りにすること。

そこに関して、最後にもう1つだけ。

そのヒントは“子ども性”にあるかもしれない、

ということについてです。

英語の感覚・日本語の感覚 <ことばの意味>のしくみ』

(著:池上嘉彦)

には、子どものことばに関する認識について、

以下のような記述があります。

「ある段階に至ると、子どもたちはことばについてある1つの重要な発見をする。つまり、ことばの力は、日常の現実の世界の中での必要に応じて使うという場合に尽きるのではなくて、現実の世界を超えた(つまり<虚構>(fiction)の)世界をあたかも現実の世界であるかのように創り出すという形でも働くという認識である。先に何か言い表すべきものごとがあって、そこでことばが登場するというのではなくて、先にことばが登場し、自らの有する力でもって新しい世界を現出させるという場合である」

英語の感覚・日本語の感覚 <ことばの意味>のしくみ』P210

“英語は単なるツールである”という話もありますが、

“言語を学ぶ”という行為は、

それ以上に奥深いものだと思えてなりません。

利便性、効率性、合理性にとらわれず、

子ども心に戻って、文脈の中で表現を楽しむことが、

求めていることへの近道になるかもしれません。

このテーマで出てきたことに関しては、

他にも関連して広げてみたいことが多いのですが、

長くなってしまいましたので、本日はこの辺で。

また頭の整理ができたら、

更新・追記していくかもしれません〜。

ではまた〜。

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